She never looks back














 ―ひとひらの:前―













とある日の壁外遠征。頭上には太陽が燦々と輝きマントの中をこれでもかというほど蒸れさせるそんな中。 補給物資も設置し終えた調査兵団一行はしばしの休憩と作戦を練るため街に留まり遅めの昼食を採っていた。


「今回は10km先の高台の街で一夜を明かそう。そこなら巨人が来てもすぐ対応できるし何より街には囲いがある。うってつけだとは思わない?」

「予想以上にルートを逸れたことだ…そうしよう。残りの補給物資を置いて午前中には帰路に着けるだろう」

「着いたら速攻で掃除だ…分かってんだろうなよ」

「なんで私なのふざけるのも大概にして。貴方の掃除に付き合ってたら疲れる」


幹部達は街の一角にある広い建物内で作戦会議をしている。 一同が納得いく結論を出し昼食にしようと小競り合いを始める2人を無視しその場を後にした。


「お前は俺が直々に躾たんだ…掃除スキルは申し分ない」

「だから何。私は基本掃除が嫌いなの。やるならひとりでどうぞ」

「上官命令だ」

「職権乱用反対。他にも居るじゃんそっちとやりなよ」

「まだ教育の途中だ。早急に済ませるならお前とやったほうが手っ取り早い。早く休みたいだろう?」

「だから、私は汚くとも構わない。そりゃあ綺麗なほうが寝心地は良いだろうけど……めんどくさい……」

「そうだな……掃除すれば特別に個室をやろう」

「うっ……聖域を提供してくれると?」

「そうだ。ひとり静かになんの気を使わなくて良い聖域を用意してやる。もちろん寝顔を見られる心配もない」

「……絶対?」

「当然だ」

「よしその話乗った」

「(ちょろいな)」


この固い契約の印である握手が仮初のものだとはこの時のが知る由もない。 人知れずほくそ笑むリヴァイは己も昼食を取るため踵を返す。背後ではも歩を進める気配がした。


「赤の煙弾確認……続きます」


街に居る間は幸いにも巨人の出現は無く、一行は目的地に向かうため早々にその場を後にした。道中で展開された索敵陣形も滞りなく行われ壁外だという認識は左翼側の煙弾によって改めさせられる。 振り返れば最左翼。は左翼前方索敵支援班を任されている。斜め後ろからの圧は前衛にもひしひしと伝わって来ていた。


「丘の街まで無事にたどり着こうなんて思ってもみなかったが……奇行種と対面する事がないのを祈るのみだな」

「そうは行かないみたいですよ……ネスさん」


ネスのつぶやきを抑制する様にが言う。視線の先には奇妙な走りかたをし此方に近づいてくる巨人、見ての通り奇行種だ。


「草麸、頼むぞ。煙弾は俺に任せろ」

「ところがどっこい。高みの見物はできませんよ」


右に視線をずらせば3体の巨人がこちらに気づき向かってくる。進路決定の煙弾はまだ無い。ネスが黒、が赤の煙弾を打ち上げふたりはアイコンタクトを取る。


「共同戦線と行くか……単独部隊長殿には悪いが協力してもらうぞ」

「足でまといにならないようご尽力願います」

「生意気な奴だ……行くぞ!」

「はい!」


ふたりは奇行種に向かって馬を走らせる。二手に別れれば早いのかもしれないが、生存率の高い方に賭けると判断した。 ネスの腕を疑っている訳ではない。昔に比べて随分と複数戦闘の腕を磨いただ。混戦になれば話は別だがこうも見渡しの良い場で単騎相手ならばなんら問題はなかった。 奇行種の両側に展開するふたり。ネスの合図でアンカーを射出し一気に上空へと躍り出る。 ネスが足元を狙い、が項を削ぐ。思惑通りに事が運び次のターゲットへと向かった。


「ガスの温存を」

「任せたぞ単独部隊長殿」


ふと笑うネスは騎乗しの馬が此方に走ってくるのを確認する。その間に彼女は再び舞い上がった。 マントが翻りワイヤーの巻き取りを軸に回転する様は一枚の羽根そのもので、ひらりと舞う姿はいつ見ても華麗だとネスは思った。 木もない平原で風のみを頼りに舞い上がる羽根。瞬く間に3体を討伐し終えたは地面に着地するとネスを振り返る。


「伝令を!次来ます!予備ボンベもついでにお願いします!!」

「死ぬなよ!すぐ戻る!!」


がネスから視線を外し振り返れば奇行種と通常種。どうやら陣形に戻るのを許してはくれないらしい。 慣れた手つきで黒の煙弾を打ち上げ、はその場で巨人を待ち構えた。 後続が来る前に倒しておきたい。何より早く討伐しないとネスに追いつくのにも骨が折れる、とは嘆息する。 隣に駆け寄る愛馬をひと撫でしすぐさま下がるよう指示を出す頃には巨人が目前に迫っていた。


「草麸…分隊長!」


次から次へと湧いてくる巨人を粗方一掃するも、予想以上に時間を食ってしまっていた様で後続班と合流してしまった。 その事に内心嘆息する。こりゃあ追いつくのは諦めよう、今度は人知れず息を吐いた。


「ペトラさん、オルオ君は?」

「今伝令に向かっています。あっちには兵長が居る筈なんですけど…そろそろ戻ってきても良い頃なのに…」


不安気に眉を潜めるペトラも可愛い、そんなことを思いつつは騎乗する。とにかく先に進もうと声を掛け上空を見上げれば緑の煙弾が上がった。 右へと傾く煙に従いリヴァイと合流せずに済むと胸をなで下ろす。ネスとはぐれたと知れば笑われそうだ。

平原を見渡し陣形を確認しながら駆け抜ける。正直ネスに追いつくことは可能だが、ペトラひとりにしてしまうのは心もとない。 優秀だとしてもせめてオルオが戻るまではとは大人しく留まる事にした。

背後からは立て続けに煙弾が上がっている。二色の内どちらかといえば黒が目立つばかりか鳴り止まぬ発砲音に嫌な予感が脳裏をよぎった。 それはペトラも同じようでいつも以上に後方を気にしており不安そうな視線が背中に刺さるのを感じる。

はて、なんと指示を出したものか。単独行動はもっぱら得意分野だが後輩に指示を出すのはまだ慣れてはおらず、緊急事態ならともかくこうも不可解な状況下では何も言えまい。 こんな時彼ならどうするのか。もしも見誤った判断をしたとして自分ひとりならなんと咎められようとも構わないが、後輩も巻き添えにするのは気が引ける。 無理やりにでも判断を下すか、それともそろそろ戻ってくる筈の伝令を待つか。考えあぐねている間にも背後には煙弾が打ち上げられていた。


「致し方ありません…ペトラさん、私は後方支援に行きますので貴方はオルオ君と兵長と合流してください」

「でも陣形が…!」

「貴方が心配する事ではありません。私に指示を受けたのだと言って貰えれば問題ない」

「オルオと入れ違いになれったらどうするんですか!?」


指示を出すということは難しい、そうひしと感じたはどうするか今一度思考を手繰り寄せる。
彼女の言うとおりオルオと入れ違いになれば今度はオルオが単独になり危険に晒すことになるのだ。
先の巨人戦を思い返せば左の班はかなりの打撃を受けていると考えるのが妥当だろう。という事はこの場が最左翼になる。 どうにか右側の班にペトラを合流させたいものの不安要素しか見当たらない現状。


「ではあと5分…待ちます。過ぎれば貴方は右へ向かってください」

「…了解しました。ありがとうございます」


なんだかぎこちない雰囲気だな、とは内心苦笑する。彼女にはが頼りない指揮官に映った事だろう。不確かな指示で混乱させ、タイムリミットを儲けたものの己の指示を貫こうとする身勝手な上官だと。

いやはや申し訳ない。壁外だと言うのにこんなみっともない姿を晒してしまうなんて、不安を煽るだけ煽った結果がペトラの表情を歪めてしまったではないか。 伝令のオルオを考慮すべきだった。浅はかな判断は緊急事態であれば士気を一網打尽にしてしまう程の刃となりうるというのに。猛省。 むしろ今この瞬間が既に緊急事態なのではないか、と背中に冷たいものが流れるのを感じるであった。


「オルオだわ!草麸分隊長、戻ってきました!」


指示を出してから2分が経っただろうか、右からオルオの姿が視認できるとペトラが叫ぶ。 あのまま指示を貫き通さなくて良かった。人知れず胸を撫で下ろすは馬を減速させオルオの到着を待つ。


「先程はすみませんペトラさん…待った甲斐がありましたね」

「いえ、生意気なことを言って申し訳ありませんでした…」

「自分が納得行くまで進言するのはいい事です。私は指揮官には向きませんから何なりと進言してください、助かります」

「え…は、はい!」


冷酷人間だとしても頭ごなしに怒るわけでもなくむしろ助言を乞うてくるなんて、とペトラは思わず驚きを表情に出すが本人の手前すぐさま戻す。少しだけ、冷酷人間への偏見を見直した。 だがの思わず漏れ出てしまいましたと言わんばかりのつぶやきに再び驚かされることとなる。


「げっ…余計なのも来た…」

「余計なのも…?」


フードが風に靡いての横顔は見れなかったが視線が向いているであろう先に同じく目を向けるとオルオの背後にもうひとつの人影が見えた。


「兵長!」


どうやら伝令に向かったオルオと共にリヴァイも着いてきたらしい。不安に駆られていたペトラにしてみれば尊敬する心強い存在が来た事はこの上ない喜びに違いない。 喜色満面な声を聞きはいろんな意味での落胆と苦笑が綯交ぜになった。


「やはりお前も居たか。班長から話は聞いている…はぐれた事は笑い種だがお陰でペトラひとりにせず済んだから褒めてやる」

「嫌味は後にしてもらいたいですね。私は後方支援に行きますのでさようなら」


絶対言われると思った。だから合流したくなかったのにと思うも後輩の手前兵士長との言い合いはできまい。にしてみれば極限まで抑えた言葉だったが鼻で一蹴されて終わる。 こんな奴と一緒に居られるか、とどこぞのフラグを立てつつ愛馬を反転させようとするもオルオから静止の声がかかり手綱を操る手を止めた。


「左翼後方が隊列を乱され中央に退避の指示を受けました!壊滅までは行きませんが相当な打撃を受けていると思われます!」

「そういうことだ。後方支援はこの場の全員で行くぞ」

「つまりどういうことですかね」

「左翼側の巨人を片付けながら中央に戻る…という事ではないでしょうか」


さすがペトラだ、どっかのバカとは頭の作りが違う。なんて嫌味が聞こえたがこの際シカトしよう。 目的地まであと半分といったところでこの現状。今回は左翼側に敵が偏りすぎていたのだ、一度体制を整えるため陣形を畳むという事らしい。 そのまま作戦が停頓しなければ良いがまずは敵を一掃し次の一手の突破口となるのを祈るほかない。後はエルヴィンの判断に委ねよう。リヴァイの合図で4人は後方へと馬を走らせた。

暫く逆走する形になっている一行は黒の煙弾を視認する。畳み始めている陣形の流れを思い浮かべ中央に近い位置で打ち上げられたのだと捉えると一気に駆けた。


「仕留めそこねたか…あるいは予想以上の打撃を受けているらしい。、中央寄りと最左翼側どちらをご所望だ?」

「…最左翼側でお願いします。逃げ遅れてしまった者を探します」

「了解だ。ペトラ、オルオ、俺たちは中央に向かう。巨人とすれ違っても俺の指示があるまで最高速度を保て」

「「了解です!」」


は3人と別れるとそのまま直進する。このまま進めば最左翼にたどり着ける筈だ。ぞろぞろと巨人が列をなしているとは想像できないが、中央に向かった巨人に追随している奴らも居るだろう。そいつらを一掃するのが課せられた使命だ。 もしかしたら取り残されている兵士がいるかもしれない。そう思うといてもたっても居れられない彼女は急ぐ気持ちを抑えつつ愛馬の手綱を握り締めた。

しかし、出くわしたのは一体の奇行種のみだった。遅かったか、と中央に目を向け奥歯を噛み締める。遠くには数体の背中が垣間見えた。 直ちに奇行種の後を追い、背後に回るとアンカーを射出し愛馬の前に出る。一体に手間取ってはいられまい、素早く仕留めるとタイミングよく真下を疾走する愛馬の背に着地した。


「兵長、何体素通りする気なんですか!?」

「…中央の隊列が視認できるまでだ」

「こんなに残せば草麸分隊長が戻って来れませんよ!?」


一方と別れた3人は平行線上に一定の距離を置いて巨人を追い抜かしながら中央を目指している。だが、あまりにも素通りする数が多すぎて思わずぺトラがリヴァイに問いかけた。 既にふた桁は達しただろう、いくら単独部隊長であるであってもこの数を仕留めながら隊列に戻るにはあまりにも多すぎると思う。 しかし背後に目もくれぬリヴァイは平然と言ってのけるのだ。次々と素通りする巨人を見ながら心配になってきたオルオも声を荒げるほど冷静に。


「そう言えば予備ボンベ渡すのを忘れていたな。まぁあいつも学習してるだろう…残量を気にして素通りしてくるに違いない」

「兵長さすがに鬼すぎますよ!!どうすんですか草麸分隊長が路頭に迷ってたら!!」

「そん時はそん時だ。あいつもバカじゃない…生き残る術には長けている。馬が潰れない限り合流できるだろう」

「さっきバカ呼ばわりしてたのにどっちなんですか…意味がわかりません…」

「お前らはあいつのしぶとさを知らんのだったな…直に分かる。それまで馬を走らせることだけを考えろ」


何故そんなにも涼しい顔をしてられるのかふたりには皆目検討もつかなかった。の戦闘能力は兵団内でも有名な話でもちろん耳にした事はあるも、実際に見たことがなければ先輩たちの評価もそこまで詳しく聞いたことが無い。 単独部隊という特殊な位置ゆえ、の戦いぶりを目にしたものは少ないのだから当然だろう。彼女は単騎で戦闘に持ち込むのが上手い。

先ほどぺトラに指示した時の様に他の兵士を安全な場所に誘導しひとりで誰の目にも触れぬ所で戦う、それがだった。 ふと思う。身勝手な指示だとばかり思っていたが、こういうことなのかと。ペトラはあの時の彼女の背を思い返し遠くで戦っているだろうが居る背後へと振り返った。


「機会があれば…あの人の戦いを見てみたいです」


前方に向き直りつぶやくペトラ。その言葉に僅かに振り返ったリヴァイは鼻を鳴らし言う。


「…やめておけ。あいつの戦い方は参考にもならん…命がいくらあっても足りない飛び方をするからな」

「それはどういう…」


ペトラの望む答えは終ぞ返ってくることはなかった。その代わりにリヴァイは戦闘準備をするよう彼女らに指示を出す。目を凝らせば中央の隊列が視認できる位置まで来ていた。 どうやら隊列に追いついた巨人は3体程度で収まったらしい。そっちは中央に任せれば十分事足りるだろう。頃合を見計り追随する巨人に向き直れば迎え撃つタイミングが目前に差し迫っていた。 まばらにそびえ立つ木々。立地は平原よりも好条件。些か頼りなくも思うがあるだけマシと思う事にする。

ペトラとオルオの連携は十分に発揮できるだろう。何よりここには人類最強が居る。好機である材料は揃っていた。


「お前たちは右だ。行け!」


3体、4体…6体目だったか。数えるのも億劫になってきた頃。あと何体素通りしてきたっけかと考えるペトラの視界に相も変わらぬ無表情のの姿が見えた。 数体ほど巨人を引き連れてきては居るが無事な姿に安堵の胸を下ろす。リヴァイにも見えたのか「遅ぇ…」とつぶやくのを聞いた。


「ボンベ下さいネス班長から受け取っている筈です」


合流して早々ボンベを所望する彼女に笑ってしまいそうになった。ちゃんと残量を考慮して来たのだ。リヴァイの言うとおり良く分からないけれど学習はできているようで。 騎乗しつつ器用にボンベを交換する様は言い知れぬ頼もしさを纏っていて先ほどの不安感はいつの間にか吹っ飛んでいた。


「アンカー出そうとしたらガス欠起こしてて焦ったんですよ。これが上空だったら瀕死ですよまったく…」

「学習してねぇな…ガス欠起こす前に残量を考慮しろと何度言えば分かる」


前言撤回。まったく学習してなかった。残量確認なんて初歩中の初歩の筈だ。今までよく生き残れたなと呆れるよりむしろ関心さえ覚えるペトラ。


「これ以上お前がチンタラしれてば隊列に置いていかれるから敢えて渡さなかった訳だが……悪運の強い奴め」


いやいや、さっき忘れてたってモロ言ってたじゃないですか、とは口に出さない方が良いだろう。さらわぬ神になんとやらである。 そんな軽口の言い合いをオルオと共に見守っていたが、巨人との距離が近くなった所でボンベの交換を終えたが我さきにと上空へ躍り出た事により臨戦態勢を整える。 満タンなボンベからは勢いよくガスが噴射している。交換したばかりだと思って気持ち良い程消費する姿にまるで自由に解き放たれた鳥を連想させた。太陽の光を一身に受ける様は清々しいとさえ思う。


「――何か…舞ってる?」


逆光に目をくらますと一枚の羽根が見えた。ひらひらと舞うそれは鳥と思っていたそのもので、これが彼女の本質なのだと背後から声がかかる。


「あいつは翼から舞い落ちる羽根…とエルヴィンの野郎が言っていたな。単独部隊には似合いの二つ名だとは思わねぇか…ペトラよ」

「羽根…そう、ですね。本当に羽根みたいです…」


その姿は美しいとさえ思った。華麗に舞い飛ぶ姿は光を浴びて神々しささえ纏っている。戦いぶりを見てみたいと思った矢先に見れた光景。それは想像を絶するほど綺麗で、何より本人が楽しそうだった。 これのどこが『命がいくつあっても足りない飛び方』なのだろうか。ペトラは疑問に思うもリヴァイの声に気を引き締める。


「お前たちも行くぞ。巨人はまだ残っている」


の参戦により更なる時間の短縮ができた一行はなんとか最後尾に間に合い無事隊列に合流することとなる。
前を走るの背中を見たら頼もしいと言葉にすることができた。冷酷な性格はともかく、戦闘においてはスペシャリストなのだと心の底から理解する。 素晴らしいものを見れたことに幸福感と羨望感が交じり合うペトラの頬は僅かに赤みがさしていたという。












To be continued.

















おまけ

「ネス班長に怒られそう…あの人優しいんだけど怖いからなぁ…」
「俺が背後で笑っててやるから安心しろ…雰囲気が和らぐだろう?」
「更に怖いわ。やめて。貴方も怒られちゃうからね。むしろ怒られればいいんだ…」
「角でも生やす方がいいか?」
「はははご冗談を。ネス班長の頭上まで手が届かないでしょ」
「…そんなに削がれてぇのか」
「では、私は補給部隊に用事がありますのでお暇させていただきます!」
「残量は」
「…半分以下です。さよなら!」

「チッ…逃げ足だけは早ぇなあの馬鹿が」
「あれ?草麸分隊長は急いでどこに向かったんですか?」
「大方クソでも我慢してたんだろう…先に目的地に行くそうだ」
「そ、そうですか…」

「なんか失礼なことを言われている気がする」











ATOGAKI

オルオ空気ごめんなさい。最近ヒロインの戦闘模様がお留守だったので久しぶりに。ネス班長好き。
ひとひらの『信頼』