She never looks back












熱い。どのぐらい熱いかと言うと真っ裸になりたくなるくらいに熱い。


「脱げば良いだろ」

「お断りします」

「なに、サウナとでも思えば自然に脱ぎたくなる」

「薪追加しまーす」

「おいやめろ拷問する気か」

「燃えろ燃えろー」

「いいか、これ以上熱くすればお前にジャックナイフを晒す事になるんだぞ」

「薪除けまーす」

「快適な温度だ。悪くない」


何度も言うのはくどいかもしれないけれど熱い。その原因は顔にかかる熱気、即ち轟々と燃え盛る炎によるものだ。 私は筒竹で風を送りながら真剣――否、適当に薪をくべ火加減を調整しつつこの変態オヤジの湯浴みに付き合わされているわけで。何故にこんな事をやらされているのかと言うと。











 ―夜空がみせる現―












――時は遡り、昨晩の事だ。


。近々遠征訓練もある事だ、この期に乗じて勝負をしようじゃねぇか」


なんの脈絡もなく聖域に入ってきたと思えば尊大な面持ちで提案してくるリヴァイ。


「……勝負?いきなり何」

「道中必ず並足になる時が来る。俺たちは馬を降り隊列の最後尾からスタート。どちらが早くエルヴィンの野郎にたどり着けるか。無論それだけじゃねぇ、あいつを如何に怒らせず言いくるめられるかが勝負だ」


何を言い出すのかと思えばなんてくだらない。その時の私は眠気も相まって適当に会話を交わしていたのだが。


「言いくるめるという事は非公式でやる、と」

「そうだ。あいつは必ず何をしているのか聞いてくる。俺たちが徒競走やってんだ、不思議に思うだろう」

「下手なことを言えば怒られるじゃないですかーやだー」

「だからこそ言いくるめるんだろうが。負けた奴は勝った奴のいう事をなんでも聞く。至ってシンプル且つ楽しい話だとは思わねぇか、よ」

「……なんでも?」


しかし、聞き捨てならない条件を出されてしまえば食いつかないわけにもいかず。


「あぁ、そうだ。”なんでも”だ。無理難題でも下ネタでもなんでも良い」

「よしその話乗った」

「(こいつは学習しねぇな)」


今にして思えば何でこんなデキレースも真っ青な悪魔の提案に乗ってしまったのか。布団に入ってきた仄かな温もりに誘われるがまま眠ってしまった私には考え至らぬ事だった。

と言うわけで遠征訓練場へと向かう道中、リヴァイの言う通り隊列は山道の細道とあって馬を並足にせざるを得ない状況になり、それを合図に私たちは馬を元居た先頭の団員に任せ最後尾に並んだ。 無論装備もしてなければ特別な物を持っている訳でも無く、完全なるスポーツマンシップに則った丸腰の状態。周りは木々が生い茂り道は馬が2頭並べる程度の条件下。しかし合間を縫って行けない道幅ではあるまい。

突っ切るしかないなと思考を巡らしていた時、隊列の最後尾が10m程離れた頃だろうか、唐突に緑の信煙弾が上がり隣に立っていたリヴァイが走り出した。どうやらあれがスタートの合図だったらしい。 まぁ一拍遅れることなぞ些細な問題でしかない。直ぐさま追いつき団員を躱しながら突っ走る。リヴァイは手こずっているのか些か遅れていた。 よし、このまま独走だ。だが6人ほど抜いた所で私は立ち止まる事を余儀なくされるのであった。


「まさかの荷台……だと……?」


馬2頭分の幅を占領するそれだ。左右を確認してみても道幅ギリギリ、人が通れるとは到底思えなかった。ちなみに最後尾に来るときは待避所で隊列が過ぎ去るのを待っていたわけで。 こうなれば森に入り並走するしかない。そう思い立ち脇に逸れようとした横で追いついたリヴァイが――飛んだ。


「おーっとここでリヴァイ選手、荷台に飛び乗りましたー!!」

「……え?まさかの実況?先輩なにやってるのです!?」


唐突に先輩団員が実況を始めた。なんだこれ。信煙弾も上がるしもしかしなくともエルヴィン団長以外は全員グルなのだろうか。いや、そんな悠長なことを考えている暇はない。 こうしている合間にもリヴァイは――


「なんと大型ボンベの上をローリング、そのまま跳躍だ!!彼は隊列の僅かな穴を見逃さず着地に成功したようです!!いつもと相変わらぬ冷静っぷりは流石と言わざるを得ない!!」

「――くっそ!訳が分からない!」

「さて選手、今更助走する事は出来ないこの状況をどう切り抜けるのか!?」


もはや何も突っ込むまい。私は先輩を避けながら致し方ないと森の中へ進入する事にした。足元の状態は悪いがなんとか行けそうだ。


「果たしてその選択が吉と出るか凶と出るか茨の道を行く選手、そして尚も障害物競争の様に先を行くリヴァイ選手、これは戦局が分からなくなって参りました!!」

「いや〜はやりこれはリヴァイ選手に分がありますね。障害物があろうとも直線距離を走っている事に変わりはありませんし、彼の身体能力を鑑みればこのまま独走も夢ではない」

「解説も入っちゃったよ!!なんなのあんたら!!」


いけない。つい突っ込みを入れてしまった。私は解説役が増えた事にゲンナリしながらも木々の合間を掻い潜りリヴァイとの距離を詰めていく。障害はなにも木々だけではない。 地面には膝丈の高さにもなる雑草も生い茂っているのだ。中には塊になっている部分もありそれを避けるなぞと致命的なタイムロスになりかねない事はせず足を取られながらも構うことなく走り抜けた。


「兵長選手は依然先頭を独走中――っと、なんとここで分隊長、木々を抜け開けた場所に出ました!!いつの間にか崖になってはおりますがひとり走る分には十分な道幅です!!」


隊列の中腹まで来ただろうか、次いでペトラさんが実況役になったらしい。彼女の言う通り1m程崖になっている足元を一瞥しながら私はついでにと先頭を走るリヴァイとの距離を確認する。


「僅かだが崖と木々の間に何も生えてない第二の道ができようとは……これは誰も予想だにしていな――」


オルオ君が舌を噛んでしまったようだけど気にする余裕はない、いつもの事だ。障害物も何もない道に好機と言わんばかりに速度を上げ遂に私はリヴァイと並走する事に成功した。 このまま追い抜かして一気にゴールしてやるぜ!


「だがしかし!!選手の前には再び障害物が、これは――岩だ!!選手の身長を軽く超すほど大きい岩だぁー!!クッソでっかいぜー!!どうするんだー!!」

「――っ!?」


ハンジが叫ぶ。余所見をしていた私にそれは絶望を与えた。前方に向き直れば無情にも立ちはだかる岩。左は崖。目下は相変わらず狭い道幅に飛び降りる隙間を与えず並足に乗馬する団員たち。 ここまでくれば荷台の姿はなくまさに危機的状況。どうする。どうする私!!


「えぇいままよ!!ハンジ、退いて!!」

「えぇえええ!?ちょちょちょちょっと!?」


こうなればお馬さんの上に飛び乗るしかあるまい。私は躊躇うことなくハンジの頭上に飛躍した。


「スンッ。ハンジの馬に飛び乗るとは危険ながらも突破口としては最善手か。絶望的な状況をその聡明な頭を以てして切り抜けるとはお見事だ……フンッ」


転げ落ちるように下馬するハンジとぶつかる既の所で見事馬の背に着地。隣に居たミケさんの解説を聞き流しながら私も下馬し、リヴァイと同じく山道を走る事となった。 あ奴の背中は目前だ。このふたりが居るという事はエルヴィン団長まであと僅かな筈。泣いても笑ってもラストスパート、ここで抜かさなければ勝利はない。


「おい、よ」


と、その時。決死の思いで追いついた私に話しかけてくるリヴァイ。いきなりどうしたというのか、彼は速度を緩めつられて速度を落とした私を見遣ると次いで宣う。


「罰ゲームは決まってんのか?」

「……そりゃあ、もちろん」

「そうか。俺も決めてある」

「なに、聞いて欲しいの」

「バカ言え、お楽しみに決まってんだろ」

「なんなの。じゃあ話掛けないで」

「まぁ待て、この話には続きが――あれは何だ?」

「え。なに、どこ」


やられた。そう思うも時すでに遅し。リヴァイが崖の上を指すものだからそれを追って視線を向けた瞬間である。


「リヴァイ選手、これは卑怯です。あろうことか選手の気を引き一目散に駆け出しました。まるで子供騙し。だけどそれに引っかかってしまった選手は相変わらずちょろいものです」

「あ、あんちくしょおおおおお!!!」


ナナバさんの笑顔が私の心を抉ったのは言うまでもない。――それは兎も角、急いで追走するもあの卑怯なクソ野郎は飄々とエルヴィン団長の前に躍り出るのであった。 そして長いようで短かかった徒競走の勝敗は決し、私も次いでエルヴィン団長の元に辿り着く。いや、待てよと。確か本当の勝敗を決めるのはこの後だ。リヴァイは昨晩こう言った筈。

『あいつを如何に怒らせず言いくるめられるかが勝負だ』

と。ならばまだ勝機はあるわけで。こうなれば先手必勝、何やら動きすぎて乱れてしまった身なりを整えているリヴァイよりも先に私は言いくるめをするべく口を開いた。


「決して遊んでいたわけではありません!これも訓練の一貫です!!」

「……?何を言っているんだ、?」


よっしゃ。どうやらエルヴィン団長はこの勝負に気づいていないらしい。疑問符を浮かべ此方を見遣る彼は乗馬していない私を特に気する様子もなく首をかしげている。


「いえ、ただの戯言なのでお気になさらず――」


勝ったな。言いくるめとは言えないかもしれないけれど上手くやり過ごしたのだから良しとしようではないか。これで私はリヴァイを好きにできるのだ、心が踊るというもので。だがしかし。


「……君は嘘が下手だ。何もこんな所で遊ばなくとも訓練場に着いてからいくらでもやれば良い。下の者に示しがつかないとは思わないか?」

「うっ……仰る通りで、ございます……申し訳ございませんでした」


撃沈。怒られてしまった。エルヴィン団長を欺こうなぞと考える方が愚かだったのだ。私ってそんなにわかり易いのだろうか。いやいや、まだ負けたと決まったわけではない。 これでリヴァイも怒られれば晴れて引き分けだ。それを祈る他ない。項垂れる私は顔を上げ、エルヴィン団長を挟んだ向こう側へと意識を向けた。そして。


「エルヴィン、頼まれていたやつを最後尾の団員から受け取ってきてやったぞ」

「ご苦労だった。昨夜お前がこれを名乗り出た時は何事かと思ったが、やはり仕事が早いな」

「……え?」

「なんもねぇ道中ただ乗馬してるだけなんざ退屈だからな。いい運動にもなった」

「それは良かったな」

「……あの、これはどう言う状況でしょうか」


エルヴィン団長の目の前に差し出されたふたつ折りの紙。彼はそれを確認すると「馬の疲弊状態は問題ないようだな」と宣った。一体なんぞ。 唖然とする私に地面が段差になっているのだろう辛うじて馬の背から顔を覗かせたリヴァイは此方を一瞥し僅かに口角を上げ――


「俺の勝ちだな」









――そして今に至る。


「デキレースで勝敗もクソもあるのか甚だ疑問ではあるけれど見抜けずに了承しちゃった自分が情けない……」


真相はこうだ。遠征訓練場として初めて利用する場所ともあり、その道中隊列の乱れその他馬の状態を最後尾の団員に報告してもらう手筈になっていたらしい。煙弾を上げたのはエルヴィン団長でそれが伝令の合図だったのである。 その伝令役を買って出たのがリヴァイであるからしてこの男がいつから徒競走なぞというデキレースよろしくな悪巧みを企てたのかは定かではないもそれに乗ってしまった私はまんまと罠に嵌ったと言うわけで。 誠に遺憾である。否、情けない。その一言に尽きる。どうしてこうも私は抜作なのだろうか。悔やんでも悔やみきれまい。


「子供騙しに引っかかった時は腹がよじれるかと思ったな」

「うるせぇやい。て言うかあれをやる必要は無かったと思うけど」

「やるからには徹底的に、だ」

「負けず嫌いかあんたは」

「ポーカーのお返しだ」

「まさか根に持っていたとは……」


なんとも幼稚な……とは思うものの何だかんだ楽しかったのだから良しとしよう。しかしこの状況は如何なるものか。 リヴァイの罰ゲームは些か下ネタに掠る気もするがただ『遠征訓練の夜お風呂に入りたい』との事で。どっから調達してきたのかドラム缶を肩に担いできた時はそれはもう呆れたものだ。 流石デキレース。用意周到である。


「ついでにお湯でも沸かそうかな」

「湯ならあるだろ」

「貴方のだし汁で紅茶は飲みたくない」

「塩味は効いているが誤差の範疇だ。なんならミルクも――」

「言わせないよ!?」


なんという事だ、下ネタのレベルが低俗化の一途を辿っている。ジャックナイフよりも最低だ。これも罰ゲームの一環なのだろうか、そうならば今すぐここにある薪を全て突っ込んで逃げ出したい。 ドラム缶の淵に両腕を乗せながらのうのうと心底気持ちよさそうに夜空を仰いでいる変態オヤジ。この湯浴みは他の団員たちの目を盗みキャンプ場から離れたところで決行されている。 と言う事は逃げても大丈夫なのではなかろうか。邪な考えが脳裏を過ぎった。


「逃げれば容赦しない」

「なぜバレたし」


そんなこんなんで不規則に聞こえてくる薪の破裂音と生暖かい緩やかな風の音。周りの木々の葉がさわさわと揺れるそんな穏やかな雰囲気を構うことなく私は前のめり筒竹から息を送る。 ドラム缶に次いで持ってきた大木の即席椅子に座りながら炎を眺めていると訓練の疲労感が思い出したかのように湧き上がってきた。ふたりだけの空間というものはなんの気兼ねもなく居られるから楽なのだが気が緩みすぎるのもどうかと思う。 次第に朦朧となっていく意識の中、一体何をしているんだろう、とただひたすら炎と睨めっこしながら悟りを開くもそんな私の頭に触れる手。わさわさと髪の毛を乱すそれは徐ろに軽く押さえつけるように止まった。


「竹ばかり握るのも飽きた頃か」


見下ろす瞳がどこか恍惚としているのは何故だろう。燃え立つ炎がリヴァイの眼光として映射され怪しげに揺らめいていた。私は手を退け筒竹を口から離し立ち上がる。ドラム缶を覗き込むと危ないので目は依然として彼の顔しか見ない。


「逆上せないの」

「激しい運動の後は温めの湯に長時間入ると効果的らしい」

「え、温いの」

「熱すぎなければ良い。言ったろう、悪くないと」

「そう」

「お前は気乗りしないながらも律儀というか……」

「性分なんだろうね。まぁ、そんなに目くじら立てるような事でもないし」

「なら心優しきお前に俺が火加減を調節してやろう」

「私は入らないからその必要はない」

「チッ」


その手には乗らない。私を言いくるめるなぞ100年早いわ。どの口が言う、と突っ込まれたのは言うまでもない。


「タオル」

「はい」

「俺のジャックナイフを見たくなければティーセットでも持って来い」

「はい」

「ついでに晩飯もな」

「はい」

「……」

「……」


お前はそれでいいのか。そんな声が聞こえた気がしたけれど私は構わずキャンプ場へと向かった。疲労感と眠気が思考を鈍らせていると気づいたのはこの時だ。 閑散とするキャンプ場でティーセットと適当な食料を見繕い、ついでに毛布も持ったところで「あれ?私なにしてるんだろう」とはたと覚醒したのである。 まぁいい、これも罰ゲームの一貫だ。早急に紅茶を飲んで休みたい思いでいっぱいの私は深く考えることなく即席露天風呂へと戻った。


「なんで服を着ていないの」


戻ってみればタオルを下半身に巻き、大木の椅子に座るリヴァイ。わけがわからないよ。


「着替えが無ぇ」

「そう言えばそうだった」


この人が壁外でもない場所で同じ服を着るわけがないというわけで。また戻らないと行けないのか。めんどくさいな。と言いつつも持ってきてあげる私優しい。誰か褒めて。

なんやかんやで無事に湯浴みも終え薪も自然鎮火を待つだけになった現在。食後のティーカップ片手に大木の椅子に腰掛けるリヴァイとその背後で寝転がる私は何をするでもなく無言で夜空を眺めた。 毛布を持ってきて良かった。恐らく張ってもらってあっただろうテントの事を思うと申し訳なさがこみ上げてくるが、息を飲む程美しい星空の素晴らしさに思考は次第に掻き消えていく。 日中の賑やかさも忘れまるで星の瞬きに吸い込まれるような感覚。視界一面に広がるそれに珍しくも陰鬱とした気持ちが沸き上がらないばかりか、反対に心中を穏やかにさせるもので。


「初めて壁外で一夜明かした時が、懐かしく思えるよ」


だからだろうか。柄にもなく過去を口にしたのは。まだ自分が新兵で大した目的意識もなく兵団に身を置いていた頃の記憶。


「人は死んだらお星様になるとか言うけど……眉唾物だよねぇ。この星全部がそうだったら恐ろしいにも程がある」


それは誰が教えてくれたものだったか、確か同期のひとりだった気がする。見張り番をしながら空を見上げてはくだらない事を話した、そんな夜だった。 本当に、懐かしい。二度と戻れない追憶の彼方に置き去りにされたそのひと時、儚くも朧げなそれは決して憂鬱にさせるものではなく。 確かに感じた胸の暖かさは本物であり大切な記憶。気恥ずかしそうに浪曼を語る同期を思い出せるのはもう、私しか居ないのだと気づいたのはいつだったか。


「ロマンの欠片もねぇ奴だ」

「貴方の口からロマンなんて言葉を聞けるとは……」


ついと一瞥してみれば背を向けたままのリヴァイが紅茶を啜る。ここからでは見えない口元が愉快そうに持ち上がっているなぞと知る由もない私は再び夜空へ目を向け――


「……感傷に浸るなんぞらしくもねぇな」


――少し、驚いた。まるで私の思考を読み取ったと言わんばかりに紡がれた指摘は的確なもので。思わずリヴァイを見上げるも、やはりその顔を窺い知ることは終ぞ出来なかった。
でもこれだけは分かるのだ。故意的に此方を見ないようにしているその理由なぞ。


「そう言うリヴァイだって、らしくないね」

「……かもな」


お互いの過去は知らない。それでも”現在”を知っていればそれでいいと思った。不意に絡められた指に力が入り、不満だと言外に告げられているのを知らないふりして私は瞼を落とす。 私の過去なんて面白くもなんともないのに物好きも居たものだ。でもいつかは話してあげないでもない。その時が来るまでは、と今生きているという事実だけを指から伝わる温もりで確認しながら私は微睡みに身を任せるのであった。


『ロマンだと思わないか、?』

『そうだねぇ』

『生きて帰えれたらまた一緒に星を見ましょうね』

『うん、そうだねぇ』

『お前聞いてんのか?』

『うんうん、そうだねぇ』

『眠い時のに何言っても無駄なのよ』

『……そうだねぇ』


今も昔も相変らない夜空がみせるそれは、全てが現。








END.















ATOGAKI

ドラマCDのノリで。そしてお風呂セット欲しかったという無念を乗せて。ギャグ下ネタで終わらそうと思いましたがところがどっこい。 そろそろ過去話くるので即興で仕上げました。と言っても新兵時代の過去話ではないのですが。駄目だ気を抜くと下ネタを書いてしまう。悪い癖です。